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言葉で表現できない深い想い・・・・『音楽』で共感する喜びを!

教員紹介

  

山田高誌

職位 准教授
専門 音楽学,イタリア・オペラ史
職位 大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻(音楽学)博士後期課程
所属学会 
日本音楽学会、日本演劇学会、地中海学会、日本ロッシーニ協会、日本ヘンデル協会、国際音楽学会(IMS)、国際音楽資料情報協会日本支部(IAML)、イタリア音楽学会(SIdM

研究と関心

1.18世紀のナポリの音楽/ 劇場活動を、台本、楽譜、興行史料(ナポリ銀行史料、公証人文書)に基づいて再構築を目指しています。特に契約書レベルでの発掘調査をイタリア人に交じって長年行ってきましたが、これによって、本当の作者や、知られざる作品、舞台やバックステージがどのようなものであったのか具体的に明らかにすることができました。成果の一部は、ほぼ毎年、ページ数に制限のない本学部紀要上に発表していますのでご覧ください。(2017年度のものは、18世紀の作曲家、台本作家、演奏家の賃金の変化を、未公開史料133点の全訳とともに実証しています)
2.チマローザのオペラ楽譜の校訂。今年2017年、大阪のダ・ヴィンチ出版が、コルトーナのチマローザ財団と組んでチマローザ楽譜全集を出すこととなり計画が進んでいます。そしてアヴェルサにあるチマローザの生家もまた2017年に改装完了となり、将来的に音楽祭を企画しているそうで、知られざる作品を出版しながら、ここで上演したいと思っています。
3.オペラにおける異国の表象、メタ・オペラのあり方に興味を持っていて、近い将来イタリアで本を出したいと思っています。
4.楽器学、演奏史の観点からバロック・ファゴット、リコーダー等の演奏を行ってきました。バロック・ファゴットはアルベルト・グラッツィに習い、楽器製作家(トーマス・プレスコット、ピーテル・デ・コーニング、ヴィンツェンツォ・オニーダ、フランソワ・ド・リュデール各氏)など、積極的に訪れています。授業(器楽BIリコーダー)では、本格的な古楽アンサンブルをしたいと思っていますが、楽器の整備がなかなか進まないので、将来の課題とさせてください。
5.山鹿の八千代座の興行史の整理、および国際的な劇場史において日本の小劇場をどう位置づけしてもらうかを考えています。文部科学省科学研究費のもと、2017年3月には在ローマ日本文化会館で「八千代座シンポジウム」を実施します。

研究のきっかけなど
 小さい頃経験したピアノやお琴が嫌で、一時は完全に音楽から遠ざかっていたのですが、中学生の時にラジオで聞いた18世紀のナポリのオペラ(チマローザ《秘密の結婚》)に感動して以来、18世紀、オペラが人生の中心的キーワードになりました。大学受験のさなか、阪神大震災で家が全壊し、とりあえず入った早稲田大学教育学部でジャーナリズムを専攻しましたが、卒業になった頃改めて本格的にオペラ研究を志し、大阪大学大学院で音楽学を専攻しました。その後、博士後期課程と並行しながら7年ほど断続的にイタリアに留学を重ねてきましたが、それはすべて、今年で活動30周年を迎える古楽オーケストラ、“ピエタ・デイ・トゥルキーニ”を設立したディンコ・ファブリス先生(前国際音楽学会会長2013-2017、現ナポリ音楽院教授)の活動に憧れて、彼の下で勉強するためでした。修士修了後に論文を同封して彼に直接手紙を書いたら、ちょうどその前年、彼がバーリ音楽院に新しく開設した古楽科上級ディプロマコースの募集があるということを知らされ、2002年からナポリに住みながら毎週、作曲家ピッチンニの生家を独立棟として独占使用していた同音楽院古楽科に通い、彼の下で記譜史を学びました。この時にできたプーリア州との縁がきっかけで、現在、指揮者ヴィート・クレメンテ、ソプラノ須崎木の実さんが実施しているプーリアの音楽文化に焦点をあてた「アプリア・フェスティバル・ジャパン」に協力しています。(2017年には世界復活録音ヴァン・ヴェスタラウトのCD、楽譜を出版。) 続いて、2004年にはファブリス先生がバジリカータ大学大学院に「古楽と理論の実践に関する実践修士コース」を新設することになったので、(既に研究員としての職務もあったため修了はしませんでしたが)こちらにも進学し、その中で多くの同世代の演奏家やバジリカータ大学に客員として来ていたバーゼルのスコラ・カントルムの先生たち(ダニエラ・ドルチ、キアラ・バンキーニら)に刺激を受けました。 その後、日本学術振興会研究員SPD、海外特別研究員としてナポリに滞在していた頃は、ほぼ毎日ナポリ銀行文書館、ナポリ音楽院に通って史料と格闘、さらに、学会や、珍しいオペラの上演があると、かなり不便なところでもイタリアのみならずヨーロッパ各地に足を延ばし(いつも行っていたところでは、イェージのペルゴレージ音楽祭、ヴィテルボ古楽祭、マルティナ・フランカ、ヴァッレ・ディトリアオペラ音楽祭、ロッシーニ音楽祭、ルケージ音楽祭、ウルビーノ古楽祭、ターラントのパイジェッロ音楽祭、マテーラのドゥーニ音楽祭、モンペリエのラジオ・フランスの音楽シーズン、ボーヌ古楽祭、ハレのヘンデル・フェスティバル、ザルツブルク・ペンテコステ音楽祭、等々)最新の古楽研究、古楽オペラの上演に触れてきましたが、その中で、特に、音楽学者が単に個別の研究だけに留まるのではなく、演奏家と一緒になって復活演奏に取り組む、そして政治家と一緒になって、街づくりとして音楽祭を企画、実行する様子を近くで見て、憧れとともに自分の将来の課題としてきました。 2014年に熊本に赴任になる前は、九州は私にとって全く未知の土地でしたが、それでも専門とかけ離れた八千代座に取り組んでいるのは、赴任後すぐに訪れた八千代座資料館夢小蔵での収蔵品(特に帳簿)を見て、私のイタリアでの経済史の観点からの興行研究をそのまま生かすことができるとともに、地域文化を担う音楽学者としての活躍の道がここから広がるのではないか、と直感的に思ったことがきっかけになりました。もはや、私の中ではイタリアのオペラ研究の延長線上に、映画研究、日本の芸能、そして熊本が存在しています。 なお、2016年12月には、イタリア文化会館大阪の援助のもと、ボローニャのコメディア・デッラルテ一座“フラテルナル・コンパニア”を熊本に招聘し、八千代座で《ドン・ジョヴァンニ》を上演しました。また2017年9月には、イタリアの国営放送RAIラジオ番組「国境なき音楽学者」にゲストとして呼ばれ、ファブリス先生と日本の音楽について話してきました。私たちが彼らの文化を知っているほどに、彼らは私たちのことを知らない、だけれど、うまくそれを伝えることができたら、互いの共通点を知り、それぞれ世界が何倍にも広がるということを確信しています。今後、自分が専門にしているナポリの音楽史料研究もこれまで以上に展開させていかなくてはならないと思っていますが、同時に日本の文化をイタリアで紹介する、ということについてもテーマにしたいと思っています。

求める学生
 3年次の音楽学演習、4年の卒論作成ゼミを選択することで、音楽学領域において卒業論文を書いて卒業することができます。また文学部等、他学部で音楽で卒業論文、修士論文を書きたい人に対してもできるだけ対応するようにしていますので直接研究室を訪問してみてください。音楽学ゼミを選択するためには、以下の条件のどれかがあてはまると良いと思っています:・音楽が好きな人。・音楽が嫌い(特にクラシック、ピアノ、学校の授業 etc)な人。・社会にとっての音楽が何なのかを自分でいろいろと考えたりしてきた人。・フットワークの軽い人

業績
 
個人HPに順次掲載していきます。
http://nipolitan.cocolog-nifty.com/about.html

               

熊本大学教育学部音楽科

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