教育学部長 挨拶文

 令和2年度以降,新型コロナの影響を長く受けましたが,令和5年度から学部の授業もようやく対面形式での実施に戻りました。3年半にわたって活気をすっかり無くしていたキャンパスに,学生たちも戻って来て,賑やかなおしゃべりの声が耳に心地よく響いています。コロナ禍を経験することにより、教員も遠隔授業の準備に追われて多くの不自由さを感じましたが、いまではICT等デジタル通信技術を採り入れることで,新たな大学教育の可能性を実現する自由を手に入れたのかも知れません。これまで経験したことのない課題に直面しながらも、その状況に適応して学び続けることが、これからの時代を生きていく上で必要なのだと思います。

 熊本大学教育学部は、令和4年度に改組を行い、これまで4課程(小学校教員養成課程,中学校教員養成課程,特別支援教育教員養成課程,養護教諭養成課程)で運営してきたものを1課程(学校教育教員養成課程)にまとめて、3コース(初等・中等教育コース,特別支援教育コース,養護教育コース)に編成し直して新たなスタートを切りました。教育組織が一つにまとまる分、学生の学修(履修の仕方)も自由度が増し、教員組織も教科を越えた授業科目の編成がより柔軟にできるようになりました。

入試の方法についても、推薦入試の枠組みが変わり、これまで「一般枠」のみ実施してきましたが、新たに「地域枠」「理数枠」を設けることになりました。個性豊かな地域の維持・発展を支える学校や教師の役割、子どもたちの学びや育ちを支える教師の仕事(教科指導や学習支援)の大切さ、教師の仕事を通して発見される教師の魅力(学ぶこと、教えることの意味や面白さ)を伝えて行ける教育課程を学生の皆さんと一緒に運営して行きます。実技系教科(音楽,美術,保健体育,技術,家庭)についても,専攻を一括りにして募集する枠を設けましたが、入学後は,異なる教科の内容を複眼的に捉え直しながら共通のテーマや方法等で,5教科の学生が一緒に学び合う運営方法を導入しています。

そして,教育課程の根幹である教育実習についても,附属学校,熊本県・熊本市教育委員会と連携しながら,過重な負荷がかかり過ぎないように,学生の皆さんの意見や要望をよく聴きそれらを反映させながら,共に学び合える教育実習を一緒に作って行きます。

 今年度は改組後2年目になります。学部運営が軌道に乗るまで様々な困難があるかもしれませんが,それを恐れずに,学生の皆さんと教職員が一緒になって新しい教育学部を創っていきたいと思います。

教育学部長 藤田 豊