講座の紹介
本学科は3つの講座によって構成されています。
3つの講座はそれぞれ有機的に関連しており、実践力の高い教員になれるよう、特別支援教育が総合的に学べるよう構成されています。
各講座の内容
特別支援教育学
特別支援教育の基礎を学ぶ講座です。特別支援教育の歴史や教育課程について、また教育法規などを学びます。
特別支援教育心理学
特別支援教育において必要な、各種の障害をもつ子どもの心理特性を学ぶ講座です。障害特性や発達評価法などを学びます。
特別支援教育指導学
特別支援教育で行われている各種の指導法について学ぶ講座です。学習支援や教材開発などを始め、応用行動分析や動作法などの各種療法についても学びます。
教員の紹介
熊本大学特別支援教育学科には、5名の専任教員がスタッフとして働いています。
5名の専任教員は全員が博士号を取得しており、全国的に見ても障害児教育関連学科で5名の教員全員が博士号を取得しているのは他に例をみません。
本課程では、それぞれの教員のもつ専門性に基づいた指導を受けることができます。また5名のうち2名は臨床心理士の資格も持っており、より実践的な立場からの指導を受けることもできます。
干川 隆
Takashi Hoshikawa
特別支援教育指導学講座 教授
略 歴 九州大学大学院教育学研究科
博士後期課程単位取得退学
国立特殊教育総合研究所研究員を経て現職
博士(人間環境学)、臨床心理士
担当科目 特別支援教育学実践演習I
特別支援教育学授業演習IV など
専門分野
子どもの特別な教育的ニーズに応じた支援方法の開発
通常の学級に在籍する学習につまずきのある児童生徒に対して、学習支援教室を中心に認知特性の観点から良い学習支援のあり方を検討しています。また、個別の教育支援計画の作成と授業作りについて附属特別支援学校の先生方と研究を行っています。さらに、肢体不自由や自閉症の子どもたちに動作法による発達支援を研究しています。
著書・研究業績
「通常の学級にいる気になる子への支援」
明治図書出版社、編著、2005年
「状況の認知的枠組みとしての自体軸」
風間書房、単著、2006年
「学習につまずきのある児童への支援マニュアル」
熊本大学LD研究会、単著、2009年
学生へのメッセージ
特別支援教育に対する情熱のある人を歓迎
特別支援教育は、学習障害をはじめ通常の学級にいる子どもたちに対しても積極的に対応しようとしています。特別支援教育は、これまでの教科教育に加えて障害のある子どもたちにかかわる能力が必要とされます。通常の学校の先生では物足りない、障害のある人にかかわりたい、心理学を学びたいという人はぜひ、本課程に入学して下さい。
古田 弘子
Hiroko Furuta
特別支援教育学講座 教授
略 歴 筑波大学大学院博士課程心身障害学研究科修了
博士(心身障害学) 言語聴覚士
担当科目 障害特性論II など
専門分野
障害者教育原理
聴覚障害教育
障害とは何なのか、さまざまな角度から考えています。特に、私自身の国際協力体験を出発点として、アジアの途上国における障害者教育・福祉について研究してきました。
25年前によちよち歩きの聴覚障害のある子どもたちとおつきあいさせていただきました。中には、今子育て中の方もいます。この間の教育の変化を社会の変化に重ね合わせて考えています。
著書・研究業績
障害児教育の歴史.
分担執筆 明石書店 2003年発行
大学生のための福祉教育入門:介護等体験ハンドブック.
分担執筆 ナカニシヤ出版 2009年発行
学生へのメッセージ
海外の障害児教育から学ぶ
南アジアにスリランカという紅茶や宝石で有名な国があります。貧しい国ですが、教育や医療は無償で、人々のウェルビーイング(well-being)を大切にしている国です。そんな国では、障害児の教育も日本とは違う形でしっかり取り組まれています。ここには共生社会について考えるヒントがあります。
菊池 哲平
Teppei Kikuchi
特別支援教育心理学講座 准教授
略 歴 九州大学大学院人間環境学府
博士後期課程単位取得退学
日本学術振興会特別研究員を経て現職
博士(心理学) 臨床心理士
担当科目 障害特性論I
特別支援教育学実践演習III など
専門分野
自閉症・ダウン症の障害特性の理解と援助
自閉症やダウン症を持つ子どもを深く理解するために、障害がもたらす様々な症状や特徴を調べています。また、それらの障害を持つ子どもや大人のための効果的な支援方法を検討しています。
研究手法としては、心理学的な方法論に基づいた研究を行っています。実験や調査、また事例研究なども行っています。臨床動作法を用いた地域支援なども行っています。
著書・研究業績
自閉症における自己と他者、そして情動:対人関係性の視点から探る
- 単著 ナカニシヤ出版 2009年発行
発達障害のある子どもの自己を育てる
- 分担執筆 ナカニシヤ出版 2007年発行
「自尊心」を大切にした高機能自閉症児の理解と支援
- 分担執筆 有斐閣 2009年発行
学生へのメッセージ
実践の中での学びを大事に
本課程では、実際に障害をもつ子ども達と触れ合うことを大事にしています。実際に関わった中で得られた様々な体験は、卒業後の現場で大いに活かされると思います。本課程で一緒に障害をもつ子ども達と勉強してみませんか。
藤原 志帆
Shiho Fujihara
特別支援教育指導学講座 准教授
略 歴 広島大学大学院教育学研究科博士後期課程修了
大分大学教育福祉科学部専任講師を経て現職
博士(教育学)
担当科目 特別支援教育学実践演習II
特別支援教育学授業演習II
特別支援教育授業実践研究など
専門分野
障害のある子どもの音楽指導・音楽療法
特別支援学校・小中学校等の音楽に関わる授業や地域での音楽活動において、障害のある子どもの発達を促し、表現を引き出すための指導や支援の方法を研究しています。また、障害のある子どもと障害のない子どもや大学生が、学習や余暇活動の楽しみを共有できるような音楽活動デザインの開発を行っています。
著書・研究業績
改訂幼児の音楽教育法:美しい歌声をめざして
- ふくろう出版 分担執筆 2011年発行
小学校音楽科教育法:学力の構築をめざして
- ふくろう出版 分担執筆 2010年発行
学生へのメッセージ
多様さから共に学ぶ
障害のある子どもの多様な教育的ニーズに応じた指導や支援を勉強していると、人間や教育について多面的に考える機会に多く恵まれるように思います。多様さを受け入れやすい音楽活動をとおして、障害のある子どもたちと共に深い学びの世界を楽しみませんか。
大杉 成喜
Nariki Osugi
特別支援教育心理学講座 講師
略 歴 滋賀県野洲市立小学校 教諭(5年)
滋賀大学教育学部附属特別支援学校 教諭(14年)
国立特殊教育総合研究所 主任研究官(6年)
兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程
(学校教育実践学専攻)単位取得退学
博士(学校教育学)
担当科目 特別支援教育学実践演習IV
障害特性論III
特別支援教育教材開発など
専門分野
アシスティブ・テクノロジー(様々な機器による学習・生活支援)/教材開発
障害のある子どもの学習や生活を支援するため,様々な機器の利用を研究しています。
スイッチのフィッテングから,教材開発,ソフトウェア・プログラミング,授業設計,学習環境やカリキュラムの設計,機器利用計画策定会議の運営等,様々な支援を研究しています。
ABA(応用行動分析)による学習支援
主に知的障害と自閉症のある子どもについて,その学習支援の方法を検討しています。子どものニーズにあわせて,様々な教材を開発しています。
いずれも心理学をベースとした教育工学の方法論に基づいた研究手法を用います。実験や調査、事例研究なども行っています。また,学校現場と連携して授業研究や教材開発などの研究を行っています。
著書・研究業績
特別支援教育おすすめ「ちょいテク」支援グッズ31
大杉成喜・佐原恒一郎 共編著 明治図書 2007年発行
特別支援教育のための「ちょいテク」支援グッズ36―アシスティブテクノロジー・小ネタ集
大杉成喜 編著 明治図書 2005年発行
特別支援児の心理学 理解と支援
分担執筆 北大路書房 2006年発行
学生へのメッセージ
特別支援教育の視点を持った教員をめざしませんか
私は25年の教員生活の後,本学科の教員になりました。小・中・高等学校の現場にも,特別な教育ニーズのある児童生徒がたくさん在籍しています。教員はそれに気づいて,適切な対応ができることが大切です。教員を目指すならば,本学科で勉強して特別支援教育についての専門性を深めてみませんか。